幸せになりたい と思っている人は　幸せにはなれない・・・のかも

　今回も、私の自慢話です。
　自分の長所として「継続力」を挙げたことがあります。第二弾「現状満足」というものがありまして。

　幸／不幸を感じる瞬間て、多くの場合「変化・比較」だと思うのです。「以前より良い／悪い状態」になった時が一般的ではないでしょうか。
　「昇格した／降格した」「収入増えた／減った」「出会った／別れた」「満腹／空腹」など。
　ただし、それは「変化」なので、一時的なものでしかありません。「収入が倍になったけど、家族が喜んでくれたのは半年くらいだった」という話を聞いたことがあります。収入が増えても、それが当たり前になってしまえば、幸せを感じることは難しいかもしれません。

　お笑い芸人ネプチューン、原田泰造さんのネタで。『IT会社を起業した社長が、様々な困難を乗り越え成功し億万長者となるが、夢オチだった』というものがあるのですが。実はその夢を見ていたのが石油王で。「なんだ夢かぁ。めっちゃ貧乏になってて焦ったわぁ…」という2段落ちだったのです。
　このネタ、一定の真理を含んでいる気がします。すなわち、どんなに恵まれているように見えても、それを幸せと感じるかは本人次第。
　本来、衣食住が満たされているだけでも十分に幸せを感じられることは、実は多くの人が気づいています。実際、世界では数億人が飢餓で苦しんでいます。きっと「お腹いっぱい食べることができたら、どれだけ幸せだろう」と思っているのではないでしょうか。
　もっと身近な例でいうと。インフルエンザやコロナにかかってしまって苦しい日々を耐えた後。熱も咳も喉の痛みもなく迎えた「普通の朝」の素晴らしさ、経験ありませんか？

　実はわたくし。職業柄、多くの病気をみてきたせいか。外科医時代、あまりに忙しい日々を経験したせいか。普通にご飯が食べれて、普通に眠れるだけでも、「ありがたいなぁ」と幸せを感じてしまうのです。これって、わりと有利だと思いませんか。
　結局、無欲の方が幸せを感じやすい。欲がある者は、幸せを感じたとしても一時でしかない、ということではないでしょうか。
　そして、無欲な者同士は、原則として争いを起こしません。争いの原因は際限なき欲望です。

　しかし。
　しかしですね。
　私のような「現状維持で幸せを感じる人間」ばかりだと、進歩がないのです。「もっと楽したい」「もっと美味しいものが食べたい」「もっと遠くまで行きたい」という欲求がないと、スマホも、唐揚げも、飛行機も、生まれなかったわけで。
　急に話が大きくなりますが。人類の文明の発展は、現状に満足しない人々の努力の積み重ねなわけで。「無欲な俺、幸せだぜ。俺みたいな人間ばかりなら無益な争いも起きないのに」アピールが、矮小なものに思えてきました。
　人類にとっては、幸せではない状態、妬み、恨み、僻み、嫉み、なども不可欠なようで。幸福論なんて、ちょっとブログのネタで語れるようなものではありませんでした。