待つ身が辛いかね 待たせる身が辛いかね(太宰治)
- 2024.01.31
当院は一般的な診療所ですので、急性期疾患の患者も慢性疾患の患者も受け入れています。風邪・ケガから、糖尿病・高血圧など。
ただ、ここのところ、発熱患者が増えて、病院の受け入れ態勢が厳しい状況になっています。新型コロナ最流行時には、完全に分離し受診者数も制限していたのですが、今は、インフルエンザと共に院内で区分けして診察しており、受け入れも特に制限していません。
コンビニのレジでも同じ現象が起きるように。患者は等間隔で来院するわけではありませんので、患者が全くいなくなる時間帯もあれば、大渋滞の時間も存在します。その時間が大変心苦しい。
発熱患者を優先して診れば、慢性疾患の患者は「なんでいつもの血圧の薬をもらうだけやのに、一時間も待たなアカンのや…」とイライラが募ります。かと言って定期患者を優先すれば、発熱患者からすると「こんなに苦しんでる患者を放っておくなんて、ここは病院やろ。早く助けてくれや…」と怒りがこみ上げます。
そんな時に、診断が難しい患者、処置が必要な患者、急ぎ高次病院へ紹介が必要な患者、などが入ってくると、もうお祭りです。しかし、診察室は基本的に密室で静粛ですので、待っている患者から見ると、診療が止まっているように感じるかもしれません。
慢性疾患か、急性疾患か、どちらかに絞れば、もっとスムーズに診察できるのでしょうが。やはり医者ですから、どんな疾患であろうと助けられる患者は助けたいのです。
・・・というタテマエが半分。
残り半分は経営上の問題です。
一般的な診療所は、夏季と冬季で収入が変わります。コロナで少し様相が変わりましたが、基本的には冬季の収入が増えます。そうです、感染症の時期だからです。
医療機関に通院したことがある人なら知っているかもしれません。初めてもしくは久しぶりにその病院にかかるときには「初診料」が必要になり、定期通院している患者に比べて割高になります。経営上、医療機関は「一見さん歓迎」なのです。
当院のように、特定の疾患に特化しているわけでもなく、それほど繁盛しているわけでもない医療機関は、慢性疾患の患者だけでは食っていけないのです。
というわけで。患者を選ばず救うという医者の本分を果たすため。そんな診療所の経営を支えるため。感染症時期の待ち時間発生に、ご理解をよろしくお願いします。