安川十郎「健康寿命が長い」「平均寿命と健康寿命の差が少ない」ことを誇れる地域にするのが私の夢です。

新型コロナ感染症に対する私見06

  • 2023.09.29

 新型コロナ感染症の流行は、世界に大きな混乱をもたらし、社会の在り方を変え、経済にも大きな影響を与えました。当初は「致死的な正体不明のウイルス」というイメージがあり、毎日のように感染者やワクチンに関する問題がセンセーショナルに報じられ、TVで感染者数を確認してマスクを用意するのが朝の日課でした。

 それが現在、2023年5月から5類感染症とされ、社会は落ち着きを取り戻しています。当初の狂瀾怒濤の時期から比べると隔世の感があります。

 2023年9月現在の新型コロナ感染症に対する対応は
 1.発症から5日間かつ症状が消失してから24時間の自宅療養が推奨されている。
 2.濃厚接触者は定義しない。
 3.65歳以上あるいは基礎疾患を持つものは専用の抗ウイルス薬の投与が検討され、9月末まではその薬剤費用は公費で賄われる。
となっており、これは、治療薬の費用負担以外は、インフルエンザ感染症への対応と同じようなものです。

 新型コロナ感染症の国内累計死者数は約3年間で7万人を超えていますが、実はインフルエンザ感染症でも関連死は年間1万人と言われており、同等ではないものの大きな違いもありません。このことからも、新型コロナ感染症とインフルエンザ感染症への対応が同程度となることは妥当だと思います。

 10月からは治療薬の費用に3,000~9,000円の患者負担が発生します。新型コロナ感染症治療薬は、一人分50,000~90,000円程度ですが、処方の裁量は各医師に任されています。軽症でも患者負担が少ないのであればと積極的に処方している医師もいれば、軽症患者に、使用経験の少ない高額な治療薬を使うのは妥当ではないと、処方に消極的な医師もいます。これは隠れた問題と言えるでしょう。もし、積極的に処方している医療機関が認知されれば、患者はそちらでの診察を望むかもしれません。そうすると、処方に消極的だった医師も、安易な処方を増やしてしまうかもしれません。結果、必要性の低い医療費が増加してしまう恐れがあります。新型コロナ感染症治療薬の処方は、一定の明確なルールを設けるべきと考えます。

 今後、インフルエンザに対するものと同程度の水準で、安定したワクチンや治療薬の供給体制が整えば、季節性感染症の一つとして落ち着いた対応ができるようになると予想します。

 人の命は尊いものですが、お金も医療資源も無限ではありません。現実社会は「人命最優先」では回りません。例えば少しでも感染者数を減らすために日本の全ての学校を閉鎖します、交通機関を止めます、とはならないはずです。仮に一人10億円で救命できる方法が見つかったとしても採用されないでしょう。責任ある者はこの問題と向き合わねばなりません。

 感染対策を厳格化すれば、感染者数・死者数を減らすことはできますが、社会は停滞し、経済的にも疲弊します。例えばそれによる自殺者の増加は、試算が難しいけれども無視できない数字でしょう。
 逆に感染対策を縮小すれば、感染者数・死者数は増えます。それは、漸増なのか爆発的なのか、様々な要因が複雑にからみあって誰にも断言できません。

 とくに新型コロナ感染症はは誰もが初めて経験する感染症でした。未知の部分ばかり、情報が極めて少ない中で、その対応を決断しなければなりませんでした。責任ない者は、「人命最優先!」「経済が大事!」「準備が不十分だった」「準備が過剰だった」と後から糾弾しますが、それは今後のための前向きな検証なのか自問して頂きたい。揚げ足を取るのではなく、「結果論ですが、こうすべきだったのではないでしょうか」「次回からはこのように対策してはどうでしょうか」など建設的な意見を述べて欲しいものです。

 世界のグローバル化の代償として、今後も世界規模の新型感染症の流行は定期的に発生すると予想されています。今回の新型コロナ感染症への対応の顛末は、次回の危機管理の礎となるべきと考えます。

安川クリニック

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安川 十郎

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