安川十郎「健康寿命が長い」「平均寿命と健康寿命の差が少ない」ことを誇れる地域にするのが私の夢です。

集団免疫 という考え方

  • 2021.05.17

新型コロナウイルスに対するワクチン接種が始まりました。
コロナ感染に対する心配、ワクチン副反応への不安。それらが複雑に絡み合い、悩んでいる人も多いと思います。
新しいタイプのワクチンで、専門家や医者に聞いても、誰も「絶対 大丈夫」とは言ってくれません。世界的にも安全な国である日本ではリスクに対する感度が高く、例えば狂牛病騒動、例えば抗がん剤治療、例えば子宮頸がんワクチンなど、利益と不利益のバランスを取るよりも、不利益の可能性を忌避する傾向にあります。
それでも選ばねばなりません。不確かな情報が多い中、
ワクチンを接種しなければ、『新型コロナに感染する可能性は少し高いかもしれない。でも副反応の心配はない』
ワクチンを接種すれば、『新型コロナに感染しにくくなる可能性が高いらしい。でも副反応が起こる可能性がある』
のどちらかを。

ワクチンを接種するかどうかは、個人の自由です。できない人、しない人も多いでしょう。
でも、知っておいて欲しいのです。集団免疫という考え方を。

ほとんどの方は、子供の頃から様々な予防接種を受けているはずです。日本脳炎など、今では年間10人も発症していません。そんな珍しい病気に対して予防接種を続けているのは、続けているからこそ、集団免疫で流行が抑えられているからです。そのおかげで、おたふくかぜ、はしか、百日咳、なども現代の日常診療で見かけることは稀です。最近は、ワクチンの効果だけではないのですが、季節性インフルエンザも全く見なくなりました。
集団免疫とは、人口の一定割合が病気に対する免疫を持つことで、その病気が流行しなくなり、免疫を持っていない人にも感染しにくくなる状況を指します。すなわち予防接種とは、個人を病気から守ること以上に、社会を守ることを目的としているのです。

ワクチン接種しない人を非難する意図はありません。
予防効果が低かったり予想外の副反応が続出し、「それみたことか。打たなくてよかった」と接種しない人の判断が正しい可能性もあります。可能性の問題に対して、接種の判断は、政府や科学者の言うことを信じられるか、科学的な考え方ができるか、によります。また、一個人の接種するしないは、集団免疫に影響ありません。“ハチドリの一滴”の如く。

それでも現在のコロナの感染状況をみると、願わずにはいられません。体調に問題なく、ワクチンの利益と不利益を科学的に判断できる方が積極的にワクチン接種を受け、できるだけ早い時期に日本が集団免疫を獲得することを。

近い将来、新型コロナが収束し、皆がマスクを外して出歩き、大勢で大きな声で笑いあえる日が来るでしょう。
もしそんな日が来たら、ワクチン接種をしなかった人、できなかった人は、心の中でほんの少しだけ讃えて欲しいのです。不安やリスクを乗り越え、集団免疫を作り上げた人たちを。

安川クリニック

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安川 十郎

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