安川十郎「健康寿命が長い」「平均寿命と健康寿命の差が少ない」ことを誇れる地域にするのが私の夢です。

見方が変わった童話 その2 の続き

  • 2021.05.03

創作寓話 “ ハチドリの一滴一滴 ”

懸命に火事を消そうとしたハチドリのクリキンディでしたが、結局、森は焼け野原となり、自分は翼に火傷を負っただけに終わってしまいました。己の無力さを嘆くことなく、その後、クリキンディは、元は森だった広大な土地に、せっせと木の種を植え続けました。

ある日、森の奥でジャガーが病気で倒れていました。他の動物が怖がって近づかない中、クリキンディは、ジャガーのために水を一滴ずつ運んであげました。のどの渇きは癒せませんでしたがジャガーは、「ありがとう」と言いながら、クリキンディが運んだ一滴よりも大きな粒の涙を流し、静かに息を引き取りました。

またある日、クリキンディは森の大木に虫が巣食っていることに気が付きました。何日も何日も、虫を一匹一匹取り除き続けましたが、結局、その木は枯れてしまいました。

それからもクリキンディは「私は私にできることを」と森を飛び回りましたが、その小さなクチバシと小さな翼では誰も助けられず何も変えられませんでした。それでも小さなハチドリは最期まで精一杯、自分の生を全うし、短い生涯を終えました。
そんなクリキンディの愛した森は、他の森よりも少しだけ緑が濃いように思われました。

【解説】
素直な感覚で「ハチドリの一滴」の続きを書くとすれば、「クリキンディの姿を見た他の動物たちは引き返し、協力して火事を消し止めました」となるのでしょう。でも、私は少々素直でなく、理屈っぽいので「人が知恵と道具を駆使しても消せない森林火災を、動物が消せるはずない」と現実的に考えてしまうのです。人間の場合でも森林火災では、まず逃げる、が正しい判断です。つまりクリキンディの判断は「間違い」で、消火は「失敗」に終わったはずです。
だからこそ私は、この物語で、「正しい・間違い」「成功・失敗」以外の価値観、が伝わってほしいと拡大解釈することにしました。現実社会において、自分のやっていることが「正しいのか間違っているのか」「成功するのか失敗するのか」など絶対の保証はありません。それでも、知識・経験・勘などを頼りに「自分の出来ること」に真摯に取り組むしかないのです。
「私は、私にできることをしているだけ」を多くの人が実践できれば、世界はより良く変わっていくはずです。そう考える私は、意外とロマンチストなのかもしれません。

安川クリニック

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