安川十郎「健康寿命が長い」「平均寿命と健康寿命の差が少ない」ことを誇れる地域にするのが私の夢です。

葛藤の感染症外来

  • 2024.12.31

 12月に入ってより、驚くほどたくさんの感染症患者が来院されました。当院の外来は、平時はだいたい1日30~40人程度なのですが、それに加えて日によっては40~50人の発熱患者を診ることも。
 インフルエンザの爆発的な流行に加え。近隣の基幹病院が「紹介受診重点医療機関(受診には紹介状が必要な病院)」になったことや、今年4月より厚生労働省による「医師の働き方改革」が推進され、基幹病院の夜診が減ったことなども重なり、このような状態になったようです。

 当院以外の診療所でも感染症患者の受け入れに苦心しているようで。
 感染症対策一つをとっても。例えば現在でも、診察医師が患者ごとにマスク、手袋、ガウンを着替えて、受付から会計まで完全隔離しているところもあれば。ウチのように、患者動線の区別と医者はマスクする程度の緩い感染症対策の所もあります。
 というわけで、診療所における感染症外来の『マインド』(医者の心持ち)を3つのパターンに分類してみました。

【パターンA】
 感染症対策を完璧に。その代わり、1日に診ることのできる発熱患者は8~10人程度。国の推奨する感染症対策を遵守しつつ、定期通院の患者も診なければならないのだから、仕方ないと割り切る。
【パターンB】
 来院した患者は、基本すべて診る。感染症対策のレベルは下がるけれど。新型コロナの重症化率は下がってるし、ある程度は妥協しないと。誰かが診ないといけないのだから。

 言うまでもなくウチは【B】なのですけど。先日、【A】か【B】か真剣に悩んでいるお医者さんの話を聞きしまして。
 【パターンC】
  患者⇔患者、医者⇔患者の感染リスクを下げるためには、感染症対策のレベルを下げるわけにはいかない。そうすると診察できる患者の数が制限されるが、そんな対応で地域医療を担っていると言えるのだろうか。診察時間の延長もある程度はできるが、自分は使命感で乗り切れたとしても、スタッフにまでそれを押し付けてもいいのだろうか。発熱患者、通院患者、地域医療、スタッフ、皆を守るためにはいったいどうしたらいいのか。本当に分からない・・・・・・
 「・・・・と悩みに悩んでいる先生がおられのですが、先生の所はどうしていますか?」と相談されたのです。そこで、「AかBしかないんとちゃいますか」とお答えしたのですけど。仕方がないと簡単に割り切ることなく、真剣に悩んでる人もいるんだなぁー、と他人事のように感心していたのも今は昔。そうも言ってられなくなりました。

 冒頭の通り、あわせて80人以上の患者を診察すると、待ち時間が2時間くらい発生します。当院では異常事態です。以前このブログで「感染症時期の待ち時間発生に、ご理解をよろしくお願いします」と投稿したかことがありましたが、そんなレベルではなくなってきました。
 「いつもの薬をもらいに来ただけなのに2時間待ち」あるいは「39℃の高熱あり、咳と頭痛で苦しいのに2時間待ち」という状態が実際に起こっています。当院は午後の時間帯は訪問診療をしており、その診察にも支障が出ています。予約制は結局人数制限をかけることになり、今のところ実施予定はありません。
 どれを優先するか決め切れず、結局、みんなに負担をかけることになっています。映画に出てくるヒーローのように、どちらも救うなんて都合の良い方法などなく。どちらかに舵を切らねばならないのかも知れません。悶々としながら、年末年始の休み明けを迎えることになりそうです。

安川クリニック

院長

安川 十郎

診療科目

内科・在宅診療

住所

〒574-0022
大阪府大東市平野屋1丁目3-9

電話番号

072-889-3209

FAX番号

072-889-3210

アクセス

JR学研都市線住道駅より徒歩15分
休診日:土曜日午後・日曜日・祝日
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13:00~16:00 訪問 訪問 訪問 訪問 訪問
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