違和感を感じる日本語
- 2023.07.31
日本語は、世界でも習得最難関の言語ではないでしょうか。日本人でも、読めなかったり、正しい意味を知らなかったりする言葉が無数にあります。今回は、私が昔から違和感があった言葉を並べてみました。なお、各解説には「諸説あり」が省略されています。
【人一倍】
「彼は人一倍努力している」・・・「一倍=×1」て 。1倍って同じちゃうの!? 人並ってこと? と思った方いませんか?
どうやら昔は、「倍」はすでに「×2」の意味を含むため、一倍=1×2 つまり2倍という解釈だったらしいのです。ので、「人一倍」は現代風に言うと「人の二倍」になり、想像通りの意味になります。
【九分九厘】
確か小学校で習ったのは、一割=10%、一分=1%、一厘=0.1%
・・・ということは、「九分九厘 大丈夫」は、「9.9% 大丈夫」=「90.1% ダメ」ってこと!?
現代は百分率が主流ですが、昔は十分率が使われていたため、「九分九厘」=「99%」になるそうです。
【虻蜂取らず】
意味は分かるけど、なんで虻と蜂やねん? 虻も蜂も狙って獲るやつおらんやろ。「カブクワ取らず」とか「エビカニ取らず」なら分かるけど。
・・・どうやらこの言葉の主人公は蜘蛛らしいのです。で、クモの巣にかかった虻と蜂を結局二匹とも取り逃がしてしまう寓話だそうで。いや、それでも。虻や蜂ってクモの巣にかかるタイプの虫じゃないと思うんですけど。
【疲労回復】
疲労を回復したらアカンやろ。「景気回復」「信用回復」はいいけど、「汚名回復」「頭痛回復」はマズいやろ。
・・・「回復」には「もとの状態に戻す」という意味だけではなく、「悪い状態から・・・」も含まれているのだそうです。「疲労を回復」ではなく「疲労から回復」という解釈だそうで。同じ論理で「汚名挽回」もOK、という意見も。このあたりはちょっとグレーみたいです。
【財布を落とした】
「落とす」は自動詞なので、意図的な行為になってしまうはず。「体重を落とす」「爆弾を落とす」などと同じく。わざと財布を「落とした」のでなければ、「いつの間にか財布が落ちた」が正確な日本語では?
・・・「落とす」「なくす」などには、無意志の自動詞という使い方があるらしく。「信用をなくした」「子供をなくした」など、不注意や不幸な場合の特殊表現みたいです。
さて。お待ちかね。多くの人が突っ込みたかったであろう、表題の
【違和感を感じる】
「とんでもございません」「一生懸命」と並んで突っ込まれやすい言葉です。実は重言とされるもので、全くの誤用ではないようです。
「それでも気に食わない」とおっしゃるあなた。「まず初めに」と言ったことはありませんか?「過半数を超える」は?「アンケート調査」は?「いまだに未解決のまま」は?「持論を持つ」は?「犯罪を犯す」は? これらも重言です。「歌を歌う」「舞を舞う」は古くから使われているから問題なし?
誤用の見本としてよく「頭痛が痛い」が挙げられますが。例えば「今日は頭痛がひどい」はOK。「今日は頭痛がとくにひどく痛む」はギリOK?
個人的に、重言はなるべく避けるつもりです。でも、人が重言を使っているのを聞いて、鬼の首を獲ったかのように指摘するのではなく、「それ、重言やで。避けた方が無難らしんだけど。ところで。まず初めに、は言う?歌を歌う、はどう思う?」など、「日本語って難しいよねぇ」「日本語って面白いよねぇ」と楽しい会話のネタにするのが妥当だと思います。