安川十郎「健康寿命が長い」「平均寿命と健康寿命の差が少ない」ことを誇れる地域にするのが私の夢です。

医療崩壊の足音

  • 2025.09.30

 例えば、2040年問題。労働人口の減少で税収が減る中、社会保障費は増大。少子高齢化が進み、高齢者1人を現役世代1.6人で支える計算に。高度成長期に作られたインフラの耐用年数が限界に。社会保障制度の破綻が懸念されています。
 社会保障費の3割を占める医療費の削減は喫緊の課題です。しかし、そう簡単には減らせません。つい先日も、高額療養費制度の負担限度額の引き上げをしようとした政権は、猛烈な逆風に晒されました。患者≒国民、なわけで。国民の医療費負担を増やすのは、拒否反応が強く、大変困難です。

 しかし、それでも。いくら困難でも。医療費を削減せねば社会保障費制度が維持できません。
 もしも私が官僚で。
 日本の将来のために、どんな手段を使ってでも医療費を抑制せねばならないとしたら。
 患者(≒国民)にアプローチできない以上。

  医者の首を絞めます。

 実際、人件費、光熱費、物価が上昇する中、医療機関の収入源である診療報酬は引き下げられています。医療機関の倒産は過去最多のペースだそうです。
 私は当事者なので、今後の診療所経営に大きな不安を感じていますが。医者の収入を減らすという戦略は理にかなっています。メディアなどで活躍しているお医者様方のおかげもあり、医者は富裕層と思っている人が多いでしょう。一般的な医者は数台の外車を乗り回し豪邸で優雅に生活、子供は私立大学、老後資金の心配など考えたこともない。そんなイメージではないでしょうか。そんな奴らの収入を減らしたとて、国民は「まぁ削るとしたら金持ちから。仕方ない」と受け入れるでしょう。政治力もなく、人口比0.3%以下、しかも非営利性を求められる我々に勝ち目はありません。

 医者の首を絞めれば。ゆるやかに医療崩壊が始まるでしょう。多くの医者は最低限の医療しかできなくなり、使命感のある医者は疲弊し、医者を目指す若者はいなくなり、医者不足のもと命の選択が始まります。日本人の平均余命は下がり、社会保障費は抑制されると予想されます。命のリストラによって。それは、給料を減らされたからといって責務を果たさなかった医者の怠慢であり、そこまで追い込んだ国民の選択だから仕方ない、というストーリーが出来上がります。

 しかしそうせざるを得なくなったのは。指導者のせいではありません。
 つい先日も、スマホで頭を叩かれた、という患者の頭部CTが撮られていました。喉がイガイガするというだけで抗生剤が処方されていました。患者に求められるままに、ビタミン剤、鎮痛剤、保湿剤、湿布が処方されてました。仕事で疲れたとの訴えで点滴していました。
 「万が一」「患者満足度」という金科玉条を盾に、無駄な医療費を大量発生させているのは、医者と患者です。

 当院では、蟷螂の斧ながら、医療費の削減に努めます。患者の皆様にもご協力をお願いします。

 しかし残念なことに。日本の民主主義システムでは、無駄な医療費を削減することはできないと予想します。
 将来の医療崩壊に備え。日々、バランスの取れた食事を心がけ、適度な運動を継続し、十分な睡眠時間を確保し、健康を維持されることを強くお勧めします。 

 …なんていう素人の妄想が外れたらいいのになぁ、と切に願います。

安川クリニック

院長

安川 十郎

診療科目

内科・在宅診療

住所

〒574-0022
大阪府大東市平野屋1丁目3-9

電話番号

072-889-3209

FAX番号

072-889-3210

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